2拠点居住やワーケーション、あるいは終のすみかとして、憧れの軽井沢で別荘や定住するための新居を建てたい、というニーズが高まっています。あるいは長年使い続けた別荘のリノベーションを考えていらっしゃる方もいることでしょう。
ただし軽井沢で新築やリノベーションをするのなら、通常の家づくりとは異なるポイントをおさえておく必要があります。
それは、軽井沢独特の景観条例。
長年にわたり自然と寄り添いながら文化を築いてきた軽井沢は、その美しい景観を守るため、デザインや敷地と自然の関係性、家のボリュームなどにガイドラインを設けています。
今回は軽井沢で新居を建てたりリノベーションをする上で、知っておきたい条例について解説いたします。
■軽井沢の街並みが美しいのは条例のおかげ!
京都に行くとコンビニエンスストやファーストフード店の外観が茶色や黒であったり、看板がないことに気づきませんか? あるいはコンビニが瓦屋根ということも。
これは京都独自の景観条例のたまもの。古都の街並みを守るためにチェーン店にも厳しいガイドラインが設けられているのです。
同様に軽井沢でも、景観に対する自治体独自のガイドラインが設定されています。
避暑地としての軽井沢の歴史は、明治時代に遡ります。自然豊かで清涼な雰囲気ただよう土地は外国人宣教師たちを魅了し、さらに大正時代に入ると国内の政財界の重鎮や文人、資産家たちが足繁く訪れ、別荘やホテルが建てられるようになりました。
やがて軽井沢は、長野県を代表する景勝地(リゾート地)に。長野県でもこうした歴史や文化、景観を次世代に引き継ぐべく、「長野県景観条例」において「軽井沢町景観育成基準ガイドライン」を策定しています。
■「軽井沢町景観育成基準ガイドライン」とは?
このガイドラインは、建物の配置、規模、形態・意匠、材料、色彩などについて言及したもの。数値基準などを明確にして、具体的にイメージができるようにしているのも特徴です。
たとえば道路後退。通常の街中の新築でも道路から建築を何メートル後退させるべきか、法律で定められていますが、軽井沢の場合は細かいエリア設定とともに後退寸法が決められています。
さらに軽井沢のなかでも住宅地の多い「都市地域」では、後退寸法に加えて「周辺と壁面線を合わせつつ、連続した沿道の空間を構成するよう努めること」というように、近隣住戸から悪目立ちしないことが示されています。
また屋根勾配は10分の2以上・軒の出は0.5m以上であることや、素材は周辺の景観と調和し、かつ耐久性のあるものを使うこと、外観は表面に着色していない自然素材・金属板・スレートなどの素材色をのぞき彩度4以下を基調とすること、アクセント色の使用の際は色彩相互の調和やバランスに配慮する……など、家づくりのさまざまなポイントにおいて細やかなガイドラインが設けられているのです。
■土地を買うなら300坪以上?「軽井沢町自然保護対策要綱」とは?
このほか、「軽井沢町自然保護対策要綱」というものもあり、隣地からの後退距離や建物の色彩の彩度などについては「軽井沢町景観育成基準ガイドライン」と足並みをそろえて定められています。
この「軽井沢町自然保護対策要綱」で知っておきたいことは、別荘地(第1種低層住居専用地域)では1区画の最小面積が1000㎡=302.5坪と決められていること。これは不動産業者によって土地が細々と分割されないよう、景観を守るために設けられたルールです。
そして建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)と、容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)はともに最大20%。
地域にもよりますが、第1種住居地域の建ぺい率が50%~80%、容積率が100%~500%であることを考えると、いかに景観への配慮がなされているかうかがえます。
このように軽井沢に家を建てるのなら、自治体のルールに配慮する必要があります。自分のお金で買った土地だから……と好き勝手にすることはできず、軽井沢という極上のエリアにふさわしい高いリテラシーが必要なのです。
■条例違反をするとどうなる?
条例違反をしても実質的に罰則はないというのが一般論ですが、厳密に言えば、「長野県景観条例」の枠組みである「景観法」の仕組みまで遡れば、違反者に罰則を与えることは可能です。
また実際に軽井沢町のホームページで、違反者の名前が公表されることも。
そして罰則以前に、条例違反をすると、軽井沢をこよなく愛する地域の方々から、総スカンにあうと心得ておきましょう。
週刊誌でも報じられましたが、ビル・ゲイツの別荘と目される邸宅が、塀を巡らせて閉鎖的に敷地を囲ったり、可能な限り土地の自然を残さなければならないのに多くの木々を伐採したと、地元から多大なクレームの声があがったものです。
軽井沢には多くの著名人が別荘を構えてきましたが、故・田中角栄元首相の別荘も、森林と調和する軽井沢らしい建物でした。
罰則はなくても軽井沢に家を建てるのなら、歴史や土地への敬意を払い、基本的な心構えとして条例は守りたいものです。
あくまで求められるのは、景観に調和した住まい。むやみやたらにお金を注ぎ込んだ豪邸を建てろ、と言われているわけではないので、その点はご安心くださいね。
■条例と併せてライフラインの確認も忘れずに!
条例だけではなく、ライフラインの確認もお忘れなく。
軽井沢はエリアによって給水の区域も異なります。
ふつうに町の水道管を使用する場合もあれば、給水が別荘地全体の管理者によるというケースもあります。さらには立地や敷地の状況に応じては井戸で対応する場合も。
下水道も軽井沢全域に整備されておらず、場所によっては合併処理浄化槽の可能性も。土地を見つけたら、インフラなどライフラインを必ずチェックしましょう。軽井沢町の上下水道課に問い合わせると教えてもらえますよ。
条例に関して疑問があればあわせて尋ねると、スムーズに新築できますよ。
■軽井沢で新築やリノベーションをするのなら、天照にお任せください
天照が拠点を置く群馬県北部は、夏涼しく、冬は寒さが厳しい豪雪地帯。軽井沢と似た傾向の気候風土なので、メンテナンスも見据えた快適な設計が可能です。
軽井沢での施工実績にも定評があり、設計から施工まで一貫対応。定住用の住まいや別荘の新築からリノベーションまで、お任せください。
とかく高いと言われる地元の業者とは異なり、適正価格でお客さまのご要望にお応えします。(https://www.tensho-co-ltd.com/blog/exterior/137981)
エクステリアも得意としており、景観と調和する気持ちの良い住まいをつくるお手伝いができれば、と思っております。
自分で条例をチェックするのが大変そう……と思われる方も、どうぞお気軽にお問い合わせくださいね。